きままにカルテ

映画・本・漫画などの感想を延々とひたすら書き記そうと思ってるブログです。

【おみおくりの作法】 優しくて不条理で心に刺さる映画

「おみおくりの作法 (2013)」という映画の感想です。  

 

★『おみおくりの作法』 - シネマトゥデイ

★『おみおくりの作法』オフィシャルサイト

 

オススメ度

★★★★★★★★★☆

泣きたい人にオススメ!
多くの人に見てもらいたい!

 

あらすじ 

公務員のジョン・メイ(エディ・マーサン)は、ロンドン南部ケニントン地区で亡くなった身寄りのない人々の葬儀を執り行う仕事をしている。

いくらでも事務的に処理できる仕事だが、律儀な彼は常に死者に敬意を持って接し、亡くなった人々の身内を捜すなど力を尽くしていた。

糸口が全て途切れたときに初めて葬儀を手配し、礼を尽くして彼らを見送ってきたが……。

出典:シネマトゥデイ

 

めずらしく速攻劇場に見に行きました

気になって映画館に見に行った映画です。
全体的に音楽が少なくとても静かな映画で、淡々とストーリーが進んでいきます。

単調だしセリフも特別面白いわけではないけどだ、それが返って滑稽さを感じさせる時があって、個人的にはクスッと笑ってしまうシーンもありました。

 

赤の他人をたった一人で弔う

主人公は孤独死を処理している職員。
孤独死した人の為に、その人の宗教を調べ、遺品も整理し、たった一人で葬儀に参加する。

必死で家族を探して連絡を取っても遺骨の受け取りや葬儀を拒否されたりするシーンは、現実にもこういうことって多いんじゃないかな…と思ってしまいました。

そういった「家族という繋がりがあっても殺伐とした希薄な感情」と、「赤の他人なのに死んだ人に尽くす主人公の優しさ」の対比がすごかったです。

 

きっと今後の日本も孤独死が増えていくんだろうけど、こんなふうに一人一人を見てくれる人なんて仕事だとしてもいないんじゃないかなと思いました。

 

でも、結局そういう彼のやり方は時間がかかると言われ上司にくびを切られてしまう…

以前「大統領の料理人」という映画を見たときも感じたのですが、効率が良いことやコストがかからないことは確かに仕事をする上では大事だけど、本当にそれだけでいいのか?と考えさせられます。

 

良い人は救われる…わけではない?

後半、主人公に恋が訪れて楽しそうな雰囲気になるけど、その幕引きたるやあまりに不条理すぎて正直腹立たしくなりました!
もしここで終わりだったら、本当にどうしようかと思いましたが…

しかし、ラストが本当に良かったです。
耐えきれず涙が出ました。
最終的に主人公は不条理なままだけど、救いはあるんだな、と…。
現実的ではないにしろ、個人的にはとても好きなラストです。

 

お墓を彼女に譲ったくだりが本当に素晴らしいと思う。
質素な生活、いつも決まりきった動作…そういう「楽しさ」と遠い慎ましい生活を送っていた彼にとって唯一の贅沢品がお墓だったろうと思いますが、そのお墓でさえ誰かに譲ってしまう。

だから彼は死んだとき、誰の目にも留まらないような土地に埋葬されてしまいます。誰も彼の墓に気付かず、泣いてくれる人など一人もいません。
一方、彼がゆずったお墓では、多くの人が涙を流し死者を弔っている…この対比はもうたまらなかったですね。

 

しかし、彼の行いをみてくれている人はいたわけですね。死んだことを泣いてくれる人はいなかったけど、あの世で包み込んでくれる人は大量にいたということ…

このあたりは少し宗教的なかんじもしますが、結局「生きる」とか「死ぬ」といったものの本質は何なのかということを考えさせられます。

 

彼は、傍目にはとても惨めな最期を迎えたことになるだろうし、物質的なものは何も残らなかったけど、それでも彼の人生は意味があるものだったんだなあと…そう思わせてくれる映画でした。

 

劇場でも高評価

 

この映画は、上映終了後、周囲から泣く声が沢山聞こえました。
スクリーンが小さかったせいもあると思いますが、やはりストーリーとして心に響くものがある作品だったんだなあと…。

 

ラストも全体的に静かで、余計な音がない感じ。
その静けさがストーリーに合っていてとてもよかったです。
何度も見るには少し覚悟がいるけど、もう一度見たい映画です!
ハンカチを用意して。